【感想】森絵都さんのカラフルは生き苦しさを感じる人に読んで欲しい。
この記事には商品PRが含まれる場合があります
息苦しいは、生き苦しいとも変換できるよなと思って、タイトルにしました。
生きることが苦しい人に読んで欲しい。
この本はいつだっただろう。
ずっと学生の頃から気になっていた本でした。
私は、最近この本を読みました。
たまたま訪れた銀行の本棚で、この本の貸出をしていたのです。
このタイミングでこの本に出会えて良かったなと思いました。
森絵都さんといえば、『DIVE』などのキラキラした青春小説のイメージが強くありました。
でも、『カラフル』は普通の男の子が主人公でした。
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。
自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。
カラフル/森絵都 文春文庫 裏面より引用
『カラフル』のあらすじは、こんな感じです、
上記の裏面だけ読むと、なんとなくファンタジーな設定なのかなと思いますが、転生以外は魔法が出てくるわけでもなく、「ぼく」は自殺を図った少年「真」として擬態しながら、いわゆる日常の中の違和感や幸せや悲しみを感じ、自分の罪を思い出すために試行錯誤をします。
私は自分の目に移って見えたものは真実だと感じてしまいます。
その真実は、自分の想像が作った産物だとも気づかずに、思い込んでいることもきっと多いのだと思います。
そういう見えてない部分も、きっと世界にはいっぱいあるんだよと気づかせてくれる小説です。
ネタバレはしたくないので、好きな部分をピックアップします。
人は自分でも気づかないところで、誰かを救ったり苦しめたりしている。
この地上ではだれもがだれかをちょっとずつ誤解したり、されたりしながら生きているのかもしれない。それは気の遠くなるほどさびしいことだけど。
だからこそうまくいく場合もある。
自分の世界は、自分のもので、苦しみや悲しみを誰に肩代わりをしてもらえるものではないけど、自分の気づいていないストーリーもあるのかなと。
「世の中の事象は表裏一体。明るい面を見て明るく生きましょう」
そんな傲慢なセリフは言うつもりはありません。
明るい面を見れるならとっくに見てるよ、って私は思うから。
でも、さびしいこともいっぱいあるけど、一歩ずつ進もうって思える本でした。
機会があればぜひご覧ください。