厳格な父親だ。
職人気質で、頑固。
そんな父が初めて私の前で泣いた。
私は仕事を辞めた。
弟も仕事を辞めた。
2人とも無職の実家暮らしだ。
罪悪感がないわけではない。
見通しがないわけではない。
でも、なんとなく居心地が悪かった。
父とこれからの話をした。
「なんだっていいんだ」
父は言った。
「お前たちが前に進もうと思うなら、いや。思わなくてもいい」
「2人とも大事な大事な子どもだ。2人とも成人だけどな。だから、だから」
「生きてるだけで、そこにいるだけでいいんだ」
そう言って父は泣いた。
私は驚き嬉しかった。
私は死にたい、消えたいと時々思ってしまう。
実はメモ帳に遺書を昨日書いた。
自分から死ぬつもりは無いが、近いうちに死んでしまう気がして仕方なかったからだ。
その1秒前までは幸せいっぱいだったのに、突然谷底に落ちたみたいに、もがき苦しむ日がある。
壊れた人形のように、ただ一点を見つめるしかない日もある。
そんな私でも夢がある。
私だから仕事を頼みたいと言ってもらうこと。
だから、拙くても、下手くそでもTwitterに絵やデザインをアップし続ける。
文章の仕事をするために準備を少しずつする。
期間限定の夢追い人になるのだ。
できるところまで、がんばるのだ。
父は静かに私がどれだけ大事か話した。
それを私は黙って聞いた。
自ら命を絶つことだけはしない。
消えてしまいたいと思っても、それだけはしない。
そう決めた。
明日も頑張らずに、夢を追いかけよう。